新木場でひとり。
「おつかれ、有楽町。」
「ああ、お疲れ。」
新木場駅に着くと、大抵りんかいがうちのホームで待っている。
りんかいの方が先に到着することが多いからだ。
次の始発が出るまでの間を二人で過ごす。
過ごし方は色々、もっぱら会話をすることが多いけど、
りんかいが何かしてきたり、何かしてきたり、何かしてきたりする事も非常に多い。
そういえばこの間は「寒いから。」とか言って、強引に抱きしめられた。
場所と時間を考えてからやれと咎めても
「別にいいじゃない、誰もいないんだし。それに、キスだってフレンチ程度にしたし」
−この返事。りんかいはお構いなしだ。
それどころか「有楽町はそんなに嫌?」とか凄く嫌な笑みを浮かべて返してくる。
…この一言でそのまま流されてしまう自分も駄目なのかもしれない。
今日新木場駅に着くと、なんとなくホームに違和感を感じた。
いつも待っている筈のりんかいの姿が見えない。
「…確か、京浜東北の影響で遅延してるんだっけ。りんかい」
しん、と静まりかえったホームは外よりも肌寒く感じるのは何故だろう。
普段そこにあるものが無いと、何だか落ち着かない。
りんかいが待っているのが当たり前になってるから
だから
着いてすぐに辺りを見回したのは、あいつを探した訳じゃなくて
今自分が何故かあいつのホームに立っているのも、きっとそう
あいつを待ってるんじゃなくて、落ち着かないから足が勝手に向かっただけなんだ。
だから
寂しい、とか
…恋しい、とか
そんなの思ってなんかいない。
ただ新木場に着いた時に「おつかれ、有楽町」っていつもの言葉が聞けないと落ち着かない。
ただ…それだけなんだ。
「…はぁ。何してんのかな……俺。」
誰もいないホームでついた溜息が、余計に肌寒さを感じさせた。
================================================================================
珍しくりんかいが遅延した時に、勢い余って妄想した小ネタ。
新木場駅を利用すると大抵の場合、りんかいが有楽町を待ってたり
一緒にホームに入っていったりするのを目撃します。(そんで一緒に出発したりすんだぜあいつら!!)
片方が遅延したら必然とすれ違い度は上がるわけで。
何か自分がりんかい×有楽町を書くと、スイーツ(笑)度が上がってる様な気がしてなりません。
まあ、奴らバカップルだし(謎)
2008/05/17